お世話係にして人に関心を持たせる
プロフィール: A.Oさん、35歳女性、主婦
アスペルガー症候群というのは、知的障害のない自閉症です。自閉症とは自分に閉じこもると書くので、他人に関心がないことが多く「冷たい」とか「空気が読めない」と言われがちです。他人に興味があるタイプでも、空気が読めないので他人との距離感がおかしく煙たがられてしまうこともあります。
我が家は長男がアスペルガー症候群で、3歳年下の弟がいます。昔、会社の先輩が「自分のことしかできない男はキャパが狭い。」と言っていました。つまり、小さい男だということです。その言葉を思い出し、次男の面倒を押し付けるかのように長男にみさせています。
長男が幼稚園年中の時から兄弟だけでお風呂に入らせています。もちろんこちらは聞き耳をたてて安全に注意しています。お風呂場には呼び出しボタンも付いているので、頻繁に鳴らして私を呼びつけます。だいたいは喧嘩になった時、次男が長男の指示に従わない時に呼び出されます。それでも、「いちいちそんなことで呼ばないで!」と突き放します。
お風呂場は小さな社会です。言うことを聞かないのなら、どうしたらいいのかを考えなければいけません。次男はまだわけのわからない年齢ですから、正面からバカ正直にぶつかっても解決しません。次男のシャンプーも長男がします。お風呂から上がる時に次男の体を拭くのも長男です。「じっとしていない!」と長男は次男のことを怒りますが、「あなたもそうだった。大変でしょう?私も本当に大変だった。」と語ります。長男は「俺はもうしない。」と言います。次男を見て、自分を見ています。
他にも次男が一人困って泣いているのに長男は知らんぷりだったりすると、「今はオモチャじゃなくて、次男を助けないといけないんじゃないの?あなたが夢中なそのオモチャはあなたを助けてくれるの?次男はあなたが困っている時はいつも助けてくれるよね?」と声掛けします。すると、ハッとした感じで次男に関心を向けます。学校でも先生は何かとお世話係に任命してくれるそうです。
自分だけではなく他人に興味をもったり、他人のことを助けることで自閉感はやわらぎます。「もっと人のことを見て。」といつも言っています。それは関心を向ける時だけではなく、興味を持ちすぎて近づき過ぎの時にも言います。なかなか難しいことですが、繰り返していくことによって徐々に理解できるようになっています。
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