同じアスペルガー症候群でも全く違う２人
プロフィール： 桃子さん、28歳女性、専業主婦（結婚前は障害児施設と保育園で勤務）
以前少しの間障害児施設で勤務していました。
担当する部屋にはアスペルガー症候群の児童が2人おりました。同じアスペルガー症候群でもこの2人は全く違っていました。どちらも男の子です。
当時8歳のA君は目を合わせてくれず、ずっと部屋の端っこでお気に入りの車の車輪をくるくると指で転がし眺めていました。話しかけても返答はありませんが、車に関してきくと「これはトヨタの○○だ」など、車図鑑を指差して教えてくれます。相当な車種が載っている図鑑なのですが、何ページのどこに何という車が載っているかまで彼は把握していました。
食事の面では偏食が激しく白いご飯しか食べてくれなくて困りました。服にも拘りがあり、上下の組み合わせが自分の決まった服出はないと怒って着てくれませんでした。イレギュラーな事が嫌いでいつも通りにやらないと部屋の端っこにいって来てくれませんでした。また、誰かとコミュニケーションをとるのも苦手なようでした。
一方10歳になるB君は非常に明るく、いつも手を叩いて行進していました。とめるまで同じ所をぐるぐる周りながら手拍子をするのです。顔の表情はあまりありませんが、人なつっこく職員が部屋を出入りする際にエプロンの紐の所をつかんできたり、手を繋いできたりしました。積極的にコミュニケーションをとろうとしている感じです。
食事の面ではやはりB君も多少の偏食はありましたがA君ほどではありませんでした。B君は算数が好きでいつも片手に計算ドリルをもって「○×○は〜」など、楽しそうにおしゃべりしていました。ただ２人に共通していた点はB君もイレギュラーを嫌う点でした。しかし、ここでもA君は部屋の端っこに行って動かないのに対してB君は大声を出して暴れるなど全く違っていました。
特別学級に通う２人ですが、そこでは自分の興味を持った事に対してとことん掘り下げて学んでいるようでした。施設では、他のことにも興味がもてるように様々な体験をさせてあげたり本を用意しました。改善というより、アスペルガー症候群とうまく付き合っていくといった形です。
アスペルガー症候群の方はいつもと違う事や否定されるとパニックを起こすことが多いので、決して無理やり何かさせようとしたり否定的な言葉を投げかけない事が大切です。自分の世界観が強いので、その中に勝手に入ることはせず、そばにいて困った時に手を差し伸べてあげるのがよいです。
無理して周りに適応しようとせず周囲にアスペルガー症候群の事を知ってもらい生活するのが良いです。
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