アスペルガー症候群は個性のひとつ
プロフィール: A.Yさん、40歳女性、専業主婦
親しい友人の子供がアスペルガー症候群で、現在小学4年生です。
彼は5年前に近所に引っ越してきて、私の息子と同級だった縁で親子共々仲良くなりました。
その頃の印象は、よくいるおとなしくてあまりしゃべらない子というだけで、アスペルガー症候群だとは全く思いませんでした。
しかし、ある日私の息子が彼のおもちゃを誤って壊してしまった時があり、その時の変貌ぶりに私も息子もショックを受けました。あまりしゃべらない彼がヒステリックに奇声をあげて暴れだしたのです。私や息子の謝る声など耳に入らず、「落ち着かせるから、ごめん、今日は帰って」と友人から言われ、逃げるように帰ってきたのをよく覚えています。私の息子も驚いたのか、しばらく号泣していました。
次の日、謝りに行くと友人も彼もいつも通りに接してくれました。そして友人は、私と息子に彼がアスペルガー症候群で、時々感情を抑えられず、周りの人に迷惑をかけてしまうということ、これからも仲良くしてほしいという思いを話してくれました。
小学校へ上がると、彼の行動は幼稚園の頃よりも目立つようになってきました。団体行動が苦手でひとりでいることが多くなりました。しかし、勉強はよくでき、特に漢字の読み書きが得意で、息子いわく「どんな漢字でも読める」そうです。
友人は進級するたび、懇談会の自己紹介時に、彼の病気の事を保護者に話し、理解を求めました。友人はわりと控えめな人で、多くの保護者の前で話をするのは勇気がいることだと思いますが、「我が子の事を理解してほしい」という気持ちが強かったのでしょう。子供を守ってあげる為には、遠慮したり恥ずかしがってたりせず、強く生きなければいけないのだと、私も彼女から学びました。
親同士はいい関係でいられているのですが、大きくなるにつれ、息子は彼とあまり遊ばなくなりました。他の友人といた方が楽しいようです。「◯◯君も誘ってあげなよ。」と促すと、自宅に連れてきたりするのですが、彼はあまり仲間と関わろうとしません。そんな彼にも息子は、「おい!こっちきて教えろよ。」と乱暴な言葉使いをしながらも、ゲームの扱いに詳しい彼を側によび、肩を組んだりしています。その様子は微笑ましく、ずっと友達でいてほしいと思うのです。
彼は時々カウンセラーに通う程度で、特に治療を受けていないようです。友人は「個性のひとつ」と前向きにとらえているようで、私もその考えに同感です。アスペルガー症候群の子を持つ方々も、そのようにとらえて、個性をもっと伸ばしていってあげてほしいです。
アスペルガー症候群のことをもっとよく理解し、差別なく社会に馴染んでいけるよう、ひとりひとりが努力していかなくてはならない課題だなと思います。
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