目に見えない障害・アスペルガー症候群
プロフィール： Ｓさん、40代女性、主婦
長年の友人がアスペルガー症候群です。
世間一般に自閉症スペクトラムという名称に対する固定観念があるせいか、見た目がそのイメージから外れる彼女は、なかなかその障害を理解してもらえません。
文章を書かせると非常に上手で、表現も的確なのですが、他人と会話するときに「行間」「空気」が読めません。周りから非常に誤解を受けます。
きちんと言葉で表現すれば理解できるのですが、暗黙の了解などが全く判らないせいで、場の空気を壊したり、遠まわしに相手が拒絶している事に気づかず、嫌がる事をしてしまいます。私も彼女と付き合いだした頃は、性格が悪いのだろうか、わざと嫌がらせをされているのだろうか、と、誤解していました。
過去に学校でも友達関係がうまくいかず、自分で気づかぬうちにクラスメイトを怒らせていた、と言う経験が何度もあったそうです。
学力はあるのに簡単な事（不文律）などが判らないせいで、教師からも叱責されることが多く、不登校を経て中退しました。その際にスクールカウンセラーの先生から発達障害関連の医療機関を紹介され、アスペルガー症候群であることがやっと判ったそうです。
その後、福祉への橋渡しがあり、現在は障害者の作業所に通っています。作業所の指導者もなかなか彼女の特性を理解してくれず、やっぱり日々叱られているそうですが、学校時代と違い、自分の障害について告知を受けた後なので、必要以上に自分を責める事はなくなったようです。
私は彼女と集団生活を共にした事はないのですが、一対一で、しっかりと言葉を言葉を紡いでいく限りは、趣味を通してのつきあいなので、そんなに不快な思いをすることはありません。前述のように、最初は誤解がありましたが、遠まわし・曖昧な表現は避け、率直に言いたい事は伝えるようにすると、スムーズにつきあえるようになりました。むしろ、裏表のない、好ましい人だと思っています。
ご自身がアスペルガー症候群で周囲とのコミュニケーションに困難を感じている時には、定型発達者の人に、自分が空気を読めない事などを伝え、配慮を依頼すると共に、相手の言葉の意味が判らない時にはきちんと確認すること、また、支援センターなどで実生活での困りごとなどを定期的に相談していくなどして、社会での軋轢を減らし、ストレスの少ない生活を送れるようにしていけるといいでしょう。
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