アスペルガー症候群『5歳息子(幼稚園年長児)の場合』

アスペルガー症候群『5歳息子(幼稚園年長児)の場合』

アスペルガー症候群『5歳息子(幼稚園年長児)の場合』

プロフィール: Mさん、女性、主婦

 

息子がアスペルガー症候群と診断を受けたのは4歳の時です。年少の3月、『もうすぐ年中さんになる!』と、楽しみにしていた矢先のことでした。

 

それ以前から兆候はありました。目線が合わない、言葉が遅い、欲しいものや見せたいものがあるときに自分ではなく親の手や指を使って指し示そうとする(いわゆる『クレーン現象』)など。気にはなりながらもいつかは…と思っていましたが、幼稚園の先生に以下のような問題点を指摘されたことをきっかけに、発達支援外来の受診を決めました。

 

・お友達の輪に入れない、行事に参加できない

 

・気に入らないことがあると、言葉では訴えずに泣き叫ぶ

 

・トイレの失敗が多い

 

・急な日程や予定の変更に弱い

 

そんな我が子ですが、現在は病院での言語療法と療育センターでの作業療法を行いながら、幼稚園へも普通に通い元気いっぱいに過ごしています。先生方は息子の特徴をよく理解してくださっていて、ほかのお子さんたちよりも一歩踏み込んだ説明の仕方、指示の出し方などを日々考えてくださり、時には私に『こうしたら上手くいったよ!』などとアドバイスして下さいます。

 

また同じクラスのお友達も、息子のことを『自分たちとは違う』となんとなく認識しているようで、グループ作業などで息子が一人あぶれたりしないように気を使ってくれたり、運動が苦手な息子のために「おいで」と手を貸してくれたりと、仲良くしてくれています。ここまで来るには紆余曲折(詳しくはお話を控えさせていただきますが…)ありましたが、幼稚園での生活は極めて良好です。

 

言語療法では『自分の気持ちを言葉で伝えられるようになる』ことを目標に、知育カードや磁石などの遊びを通して、言語聴覚士の先生に言葉を見ていただいています。発達検査や心理テストをしていただくこともあります。息子も先生を信頼し、この時間を楽しみにしているのでこれからも続けていきたいと思っています。

 

作業療法ではトランポリンや特殊なブランコなどを用いて体幹を鍛える運動療法と、ハサミや折り紙などを使った手先のトレーニングを並行して行っています。腕力や筆圧などとにかく『力』が弱い我が子のために、いつも楽しい活動を取り入れたプログラムを組んでいただき、息子はこちらの時間もとても楽しみにしています。

 

残念ながらこちらは就学前までの利用と期限が決まっているので、残り少ないですがこれからも楽しんでいきたいと思います。

 

家では私をはじめ、主人や2歳下の娘とも関係は良好です。親二人はようやく息子との接し方に慣れてきたところで、まだまだ勉強不足ではありますが、息子の気持ちを理解すべく日々努力の毎日です。

 

娘は息子より口が達者なので、息子を怒らせたり泣かせたりも多々ありますが、なんだかんだで兄である息子のことは大好きなようです。

 

そんな妹を可愛がっている息子ですが、対抗意識がとても強く、何かにつけて要領のいい娘がなんでも先にこなしてしまう(着替えや食事などの日常的なこと)と、息子は面白くなく、かんしゃくを起こしたり悔しそうに泣いたり。ですがこれも、乗り越えるための大切なステップと信じています。

 

娘とはこれからも、息子にあまり気を遣わず直球で向っていく数少ない貴重な存在として(大人はついいけないと思いつつ、息子に気を遣ったり顔色を窺ったりしてしまうので…)時には喧嘩もしながら、兄と妹として仲良くやっていってほしいと願っています。

 

今後の展望としては、来年の春に就学を控えているので、これから受ける心理テストと知能検査の結果をもって、特殊支援学級へ行くのか、普通学級へ進むのかについて、支援員の方や幼稚園の先生のお話も参考にしながら相談をしていくことになっています。普通学級にこだわることなく、息子にとって最善の方法で、幼稚園同様息子が息子らしくいられる場所を探していきたいと思っています。

 

まだまだ親として発展途上の私が悩んでいる皆さんにアドバイスできることがあるとすれば、『アスペルガーの子でも、健常の子と同じように普通に育てていけばいい』ということでしょうか。これはじつはとある方からの受け売りなのですが(笑)、私がアスペルガーの息子と健常児の娘を同時に育てていく中で、深く実感し、心がけていることです。

 

アスペルガーでも健常児でも、悪いことは悪いと叱り、いいことをしたら大げさすぎるくらいにほめる。これがじつは、一番大切なことなのではないかと思います。そういう私も、すべてを実践できているわけではありませんが(苦笑)。偉そうだと感じた方がいらっしゃったら、申し訳ありません。

 

近年、この病気(『障がい』というべきでしょうか?)は確実に認知されてきています。悩んでいる人たちがお互いに情報や知識を共有しながら一緒に乗り越えていける未来がもうすぐそこまで来ていると信じ、一緒に励ましあって、補い合っていけたらいいと思います。

 

息子のような子供たちが、一人でも多くの人たちに受け入れられ、愛される世の中になりますように!!切に願っています。

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