アスペルガー症候群の生きにくさと適材適所はどこにあるのか

アスペルガー症候群の生きにくさと適材適所はどこにあるのか

アスペルガー症候群の生きにくさと適材適所はどこにあるのか

プロフィール: こころさん、30歳女性、在宅ワーク

 

アスペルガー症候群。今、思えば私は幼少期からその症状に悩まされていた。母親に出かけるよ、と言われるだけで嘔吐していた。あと臭いに敏感で魚屋の前で嗚咽していた。これは今でもあり、香水なども苦手だ。

 

幼稚園へ通う朝は毎朝、嘔吐していたが、慣れると次第になくなった。小学校へ上がった頃は嘔吐もなくなったが、人見知りが激しく、友達もできなかった。やっと友達と呼べる人が出来たのは小学校5年だった。その頃はニコニコして、話しかけられたら話す受動型だったと思う。

 

中学校へ上がる頃に隣町へ引っ越した。そこで、みんな知らない人々ばかりで友達がいなかった。

 

部活では仲良くしてくれる友達がいたが、クラスではいなかった。

 

イジメを受け、半年以上も耐えた。死にたいと思い、鬱になっていた。スクールカウンセラーもいたので、受ければ良かったと思う。

 

そして、高校へ入学したが、中学で幅を利かせてた子ばかり、進学してしまい、失敗だった。高校デビューをしようと性格を変えるため、誰よりも友達が欲しくて、自分から話しかけた。初めは成功したと思った。しかし、本当の自分をわかってくれる人がいない寂しさがあり、精神的に無理が生じ、精神科に通う事になった。当時、心療内科など生優しいところはなかった。田舎なこともあり。

 

告げられた病名は不安神経症。調べてみると、精神分裂症の軽いもの、と書かれていた。頭がぐらりとした。その後、人のことが分かりたいと思い、心理学部へ進学した。この選択が正しかったのか、今でもわからないが、心優しい子が多かったので、卒業できたと思う。

 

20歳の時に発達心理学を専攻した時に自分は自閉症とよく似た症状があると思った。その時は病院に通う事はなかったが、旅行へ行った時だけパニックを起こした。

 

その後、卒業し正社員で営業事務をしたが、電話応対が全くできない。電話を受け、先輩や上司に替わることさえ、出来なかった。お客様と名前が聞き取れず、メモを取ろうとしても、どちらか聞き取れず、回していた。

 

入社3ヶ月、客先を少しもらったが、見積もり、受注指示、金額照合、すべて苦手だった。何が出来ないといえば、電話を合間に受けながら、他の仕事をする事が出来なかった。入社半年後、上司の堪忍袋よ緒が切れて、みんなのいるフロアで一時間以上も罵倒された。

 

私もそれまでに上司に50円のミスや製品番号のミスを何度も指摘され、鬱になっていた。なので、2〜3日のお休みをもらったが、そんな事で怒られたというマイナスな事は忘れられず、仕事が出来なくなった。

 

その後、趣味からケーキ作りの楽しさを覚え、パティシエをするも、接客が出来ない、製菓の専門を卒業してないので、手が遅い、始発でお店を開け、終電で帰る日々。半年で10キロも痩せた。辞めたいというと先輩は心配したが、親は止めなかった。

 

後輩にも仕事を取られ、私の居場所がなくなる。掃除と朝の品出しだけを任され、何もする事がなくなった。一番古株の先輩でさえ、27歳だったので、一生働ける職場ではなかった。

 

それから、なんとなく自分は不安神経症ではなくアスペルガー症候群ではないかと思い出した。接客が出来ないからだ。声が小さい、笑顔がない、お釣りを間違うなど。その後の歯科助手でもそう思った。なので、接客はやめ、電子図書の検査員、図書館の本のフィルム貼り、ライン作業。最後のライン作業は医者から勧められた。

 

その他に仕事は友達を作りに行くところではない、あなたは人の話を聞かないから友達が去っていく、など、今思うとアスペルガー症候群とわかっていた発言と思われた。

 

2年前にやっと医者を変えた。母が変えるよう警察から言われた。誰もわかってくれないと夜を徘徊した私は警察官から何度も補導され、医者が合ってませんと警察官から言われた。結果、今の医者に「お気づきかと思いますが、アスペルガー症候群です」と診断された。この10年以上のどっしりとした胸のつっかえが取れた。

 

前の医者にずっと通っていたがあなたの場合はよくも悪くもならないねー!とわかったようなわからないような発言をし、社会復帰をとにかく目指すことを目標とし、私の話も聞かなかった。なので、これを話しても私の妄想だと言われたり、こうなったら、お薬だと言われる発言もせず(強いお薬で幻覚、妄想が出ていた)、恋愛の話もしなかった。

 

とにかく、仕事の話しか相談に乗ってくれない医者でボロボロになったとき、「もうお金なんてほしくない、働きたくないんです」と伝えると、「ではここへはもう来なくて結構です」と言われた。二次障害で鬱になろうが、お構いなしの昔ながらの医者だった。

 

今は、ハローワークで発達障害ではないかと指摘され、発達障害の支援センターを勧められ、職業訓練移行所に行くも、ハローワークの相談員に働くと利害関係が生じるので、家にいて欲しいというような事を言われてしまった。障がい者枠もあるようだが、なかなか難しいようだ。

 

病院で出会った人に馴れ馴れしく仲良くしていると告白される事もあり、昔の同級生が病院の知り合いとコンタクトを取っていたりと怖くなり、連絡も辞めた。私の噂話が出ているようで、いい加減、みんなに馬鹿にされている事に気づいてください笑と、中学時代の部活仲間からメールが届いた。

 

一人暮らしをしたくても、なかなか出来ない。今後の人生が不安だが、自分の得意分野が必ずあるはずた。私は読書が好きだったので、メールで思いを伝える方が好きだった。ここで誰かの目に止まり、このような悲惨な体験をしている人がいる事を知ってほしい。おそらく、私より年上なら正社員で働いててもちゃんと育ててくれただろう。年下ならば、早くにアスペルガー症候群がわかっただろう。

 

アスペルガー症候群が改善しているかはわからない。しかし、元々こだわりが少なく、変化に弱い事と人間関係が苦手である。苦手な物を克服しようとしても無理なことがわかったので、あえて、人と関わるのを辞めようと思った。

 

誰しも適材適所が必ずある。今、誰からも必要とされなくてニートをしているかもしれないが、その体験から誰かを救えるかもしれないし、誰かの支えになるかもしれない。何かが好きならそれが飽きるまでずっとすれば良いと思う。それが何かに生かされる事が必ず来ると信じているから。

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