アスペルガー症候群と配偶者のカサンドラ症候群
アスペルガー症候群の夫を持つ妻が起こしやすい症状に「カサンドラ症候群」があります。
妻がアスペルガー症候群の場合、夫は暴力的になるという問題がありますが、カサンドラ症候群になる人もいるようです。
アスペルガーの夫はマイペースで、妻が困っていても疲れていても気が付かないで、自分の趣味や仕事に熱中してしまいます。妻はかまってもらえないだけではなく、会話がかみ合わないとか、気配りに気が付いてもらえないなどの、不満を抱えながら生活しています。
家族として体験を共有していても感情の共有は難しく、また、家庭内で何事かが起ると混乱して大声を上げ、暴力的な行動をとるので、起きた事柄よりも夫をなだめる方にエネルギーが要ります。
どうしてそうなるのか、理解不能な夫のことを友達に話しても「そんな人いないよ」などと否定されて信じてもらえません。友達にも分かってもらえないストレスが溜まって、妻が抑うつやパニック障害を起こすことを「カサンドラ症候群」といいます。
カサンドラって誰?
「カサンドラ症候群」の語源である「カサンドラ」はギリシャ神話に登場する、トロイの王女です。
太陽神アポロンはカサンドラに予言の能力を授けましたが、アポロンの愛が冷めて自分を捨て去っていく姿が見えたカサンドラは、アポロンの愛を拒絶します。怒ったアポロンは「カサンドラの予言を誰も信じない」という呪いをかけました。カサンドラは予言の能力を残されましたが、予言の正当性を誰も信じてくれなくて、未来を変えることもできないのです。
アスペルガー症候群の夫の理解不能な行動を悩む妻が、友達に愚痴をこぼしても誰も信じてくれないことから、「カサンドラ症候群」の名称が付きました。
愛情剥奪と感じてしまう
夫との情緒的な相互関係、つまり共感が欠如しているために、妻は身体的精神的な不安反応を示して、抑うつやパニック障害などの精神疾患を発症します。愛情を注いでも喜んでいるのかいないのか分からない人、感情が無いように見えて、いきなり感情的になる人から愛情を感じろと言われても、難しい話ですよね。
たとえ意見が食い違っても、言葉や態度からお互いの気持ちが分かり合えるのが幸福です。幸福を感じられない、愛情を奪い取られているだけだと感じる。「カサンドラ症候群」は「カサンドラ愛情剥奪症候群」とも言われます。
共感したい
感情を共有し、共に歓び共に悲しむことが出来ないのが、アスペルガー症候群の特徴のひとつです。アスペルガー症候群を自覚している軽度のアスペルガーであれば、定型は共感したがる特徴があり、自分が共感できないことが生きにくさの要因になっていることを知っていますから、表面上でも共感の態度を示します。定型への精一杯の歩み寄りです。
愛はあります
コミュニケーションが上手に取れないので、定型と気持ちの表し方や気持ちを伝えるタイミングがずれている。感情を共有するのが難しいので、妻が感情表現していても気が付かない。別に愛していないわけではないのです。
愛していても、自分の感情はいちいち伝えるものではないし自分の趣味や仕事に没頭すると、自分以外の他人、時には自分自身の存在すら忘れてしまうのです。他人を気にしないという特徴があるアスペルガー症候群の難しいところです。
※関連ページ:アスペルガー症候群の夫
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