アスペルガー症候群の映画
自閉症の一種であるアスペルガーを取り上げた映画はいくつかあります。いずれも特徴をはっきりと表現したもので、アスペルガーの人から見ても納得できる作品もあれば、誤解を招く恐れを感じさせる作品もあります。
レインマン
有名な作品ですが、「レインマン」はアスペルガーとしては重度で、主役のレイモンド(役:ダスティン・ホフマン)は、純粋な自閉症に近いと思われます。いくつもの飛行機事故の詳細を覚えていたり、優れた記憶力でカードの数字を覚えていたり、パニックを起こして大声を上げたりするのですが、学習能力に障害があり、知的障害もあるようです。
知的障害はないというのがアスペルガー症候群の条件ですから、「レインマン」はアスペルガーではなく、自閉症の兄と定型の弟の絆の話です。
アスペルガー症候群を取り上げた映画の紹介
「シンプル・シモン」
監督:アンドレアス・エーマン
アスペルガー症候群であるシモンが、慕っている兄の為に恋人を探す物語。シモンを中心に、シモンの周りの人々、家族がシモンの特徴を当たり前に受け止めています。アスペルガーは出来ることと出来ない事の差が激しいから、出来る事で活躍し貰おうという考えが、スウェーデンでは当たり前だからだそうです。
「家の鍵」
監督:ジャンニ・アメリオ
脳性麻痺があり、アスペルガー症候群も持っていると思われる少年パオロと、生まれてすぐに彼を手放した父親が、共に旅行をする物語。アスペルガー症候群独特のパオロの感情表現に注目が集まりました。
「音符と昆布」
監督:井上春生 主演:池脇千鶴、市川由衣
アスペルガー症候群の姉と突然共同生活を始めることになった妹の、姉妹の話。妹には嗅覚の障害があります。アスペルガー症候群を演じた池脇千鶴の感情表現が上手いと評判の作品です。
「モーツァルトとクジラ」
監督:ピーター・ネス
アスペルガー症候群のカップルの物語です。アスペルガーらしい言動で社会生活が上手くいかず、お互いの気持ちも上手に伝えられない2人のラブストーリー。
「メアリー&マックス」
監督:アダム・エリオット
アニメーション映画。家庭環境と容姿に恵まれないメアリーが、適当に電話帳で見た人に手紙を出した相手がマックス。マックスはアスペルガー症候群で過食症を併発していました。評価は様々ですが、メアリーとマックスとの感覚の違い、定型とアスペルガーの感性の違いも浮き彫りにされています。
「恋する宇宙」
監督:マックス・メイヤー
アスペルガー症候群の青年アダムと童話作家志望のべスのラブストーリー。
「マーキュリー・ライジング」
監督:ハロルド・ベッカー
アスペルガー症候群の少年が、NSAの暗号を解読したために暗殺されそうに。それを知ったFBI捜査官が少年を守る物語。FBI捜査官は自閉症らしい特徴に振り回されます。
誤解しないで
近年、話題になっている広汎性発達障害、その中でもアスペルガー症候群は病名も特徴も目立ちます。映画やテレビを見て、アスペルガーを知るのは良いことです。しかし、どのような病気でも障害でも、メディアの情報だけで知ったつもりになる人がいます。映画で取り上げられているアスペルガーはいずれも社会適応が難しい人ばかりです。
そのような人ばかりではなく、実際は社会の中で適応しようともがいている人の方が多いこと、映画のような美談では済まないことが現実には多いことを知って、アスペルガーの特徴的な個性と付き合ってください。
さまざまなタイプがいる
アスペルガー症候群の特徴の出方の個人差は大きく、軽い人は少し変わった個性として社会に適応できますが、重くなると社会生活を送れない程のコミュニケーション障害になります。
真面目で素直な性格、特徴的な言動と分かり合えない感情、それらはしばしば、集団の中でいじめのターゲットになります。心に深い傷を負って、精神疾患を併発する人もいます。様々なタイプがいて、受け入れる社会の方も、一人一人に合わせた配慮ができるようになるには時間がかかります。
でも、一人一人の個性に合わせた配慮は、障害があっても無くても、全ての人に必要なことです。配慮が出来る社会になれば、全ての人が安心して暮らせます。特にアスペルガーは、社会に受け入れられて才能を発揮できれば、優れた才能で社会の役に立つのです。それが、アスペルガー症候群の最大の美点です。
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