アスペルガー症候群と障害者手帳
現行の法制度では、アスペルガー症候群の診断名では障害者と認定できません。うつや統合失調症などの精神疾患を併発して、その症状が生活に困るほど重く、治療が長引いて治りにくいと判断された時に、精神障害者福祉手帳が交付されます。
知的障害も身体障害も無いアスペルガー症候群は、集団に馴染めずに仕事ができないというだけでは、障害により生活が困難とは認めてもらえないのです。
現在の支援の状況
障害者手帳が交付されないアスペルガーですが、自治体の支援を受けることは出来ます。子供の場合は、保育所や学校から支援施設への通所を勧められ、適切な療育を受けられます。大人になって社会生活が困難で転職を重ねた場合は、ハローワークから障害者職業センターへの通所を勧められます。
障害者職業センターは、知的障害や精神障害の方の職業訓練を行うところですが、アスペルガー症候群も受け入れて、社会適応できるスキルの練習を行います。学生時代から引きこもって社会に出にくい方は、若者サポートステーションへ相談するよう、NPOや自治体で呼びかけています。
※関連ページ:アスペルガー症候群と就労支援
生活困窮者自立支援法
今年度(2015年)から「生活困窮者自立支援法」が施行されました。経済的に困窮した人が必要な援助を得られるように、自治体が相談に乗る法律です。市役所や区役所内に相談スペースが作ってあります。
業務内容は、@自立相談支援事業(就労支援や自立の相談に乗る)A住宅確保給付金の支給B就労準備支援(就労に必要な訓練を有期で実施する)C一時生活支援(ホームレスの宿泊支援)D家計相談支援事業。です。
アスペルガーの場合、社会的に必要な挨拶や態度を知らなくて職場に馴染めない、金銭管理が苦手、親族の支援が得られない、などの理由で生活が困窮しやすくなります。いざという時には自治体の相談窓口を利用しましょう。
障害者ではないから
アスペルガー症候群は法的に障害者として扱われていないため、障害者手帳は交付されず、障害者としての支援や福祉サービスは受けられません。また、重度のアスペルガーでも環境が良ければ、一般的な仕事も生活も困らない人もいます。従って、アスペルガー症候群という病名だけでハンディキャップがあるとは認められず、障害者としての線引きが難しいのが現状です。
支援はあります
発達障害がメディアで大きく取り上げられるようになって、自治体でも発達障害の相談室や支援制度が作られるようになりました。支援制度を自主的に利用する人が少ないのは、自治体の広報活動の不足によるものです。
それに、今まで他人から傷つけられ続けて来たアスペルガーは、支援を求めて相談に行くと、酷いことを言われるのではないかという恐怖心があります。でも、これからもずっと困り続けていくのも嫌ですよね。自分を変えるチャンスだと思って、勇気を出して相談に行ってみましょう。
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