偽アスペルガー症候群とは

偽アスペルガー症候群とは

偽アスペルガー症候群とは

アスペルガー症候群は、対人トラブルに遭うことが多く、人間関係の悩みを抱えています。その反面、特異な感性と才能を持っています。その才能を社会に受け入れられ、個性的な人生を送ることが出来た、恵まれたアスペルガーは派手に目立ちます。

 

そのような「成功したアスペルガー症候群」に憧れる方々が、「自称アスペルガー症候群」を名乗る場合があります。また、社会生活に挫折し、仕事や対人関係に問題を抱える原因を、自分自身の努力不足ではなく「発達障害のアスペルガー症候群がある為だ」とする方もいます。

 

更に、医師が統合失調症などと重なる症状をアスペルガーだと誤診し、本来のアスペルガーではない方に病名が付いている、という場合もあります。

 

症状の間違い

「突然、大声を上げる」「対人関係が苦手」「変わり者」「頑固」「人の気持ちが分からない」これらの特徴は、アスペルガーにありがちな特徴もしくは症状として有名です。しかし、普通の人間にもあることです。

 

誰だって、大声を出して怒りたい時はあるし、他人と付き合うのが苦手な人もいます。それをアスペルガーの症状だとしてしまうのは、早計です。頑固にこだわりたいことも、人の気持ちが分からなくて自分の気持ちを押し付けてしまうことも、誰にだってあることです。

 

また、「不安」「会話が成り立たない」「引きこもる」などの症状も、精神疾患である「社会不安障害」や「統合失調症」に見られる症状なので、その症状だけでアスペルガー症候群と診断はできません。慎重に診断しないと、肝心の精神疾患の治療が遅れてしまいます。

 

成育歴を聞く

表面上の症状だけでは、アスペルガーなのか、偽なのか、それとも精神疾患なのかの判断はできません。ただ、本物のアスペルガーの場合は、産まれた時から特徴があります。「笑わない」「親と目を合わさない」「抱っこを嫌がる、もしくは離れるのを嫌がる」「余計なことを言う」「落ち着かない、もしくは動かない」などの特徴と「他の子と違って育てにくい」「難しい子」という違和感を、親が感じています。

 

そして、親との良好な関係を築けず、家庭内暴力にあっている場合もあります。学校でも馴染めず、友達は少ないかいない。そのような孤独を抱えたまま成長しているのがアスペルガー症候群です。診断をつけるためには、成育歴を聞く必要があります。

 

偽と真性の違い

「付き合いにくいけど天才」「珍しい存在で目立つ」アスペルガー症候群の苦労を知らない人の中には、そんなアスペルガーの特徴を格好良いと思う人もいます。しかし、自己顕示欲の表現として、アスペルガー症候群を自称する人は、すぐに分かります。表情が豊かで、生き生きと自分がアスペルガーであることを語るからです。

 

一方的に話すのは同じですが、アスペルガーだからいじめられたとか、他人より仕事ができるなどと、自慢げに話します。本物のアスペルガーは、それまでの悲惨な社会経験から、劣等感の塊になっている場合が多く、アスペルガーだと診断されても、自慢げに話したりはしません。

 

他人に話す時は、「アスペルガーだから、あなたの機嫌を損ねるかもしれないけど、許してほしい」という対人トラブルへの予防線を張るために言います。集団から疎外され続け、「変人」と言われることを恐れ、「凡人」であろうと努力しているのにできない。それがアスペルガー症候群です。

 

それに、偽アスペルガーは、会話に対して、反応が良すぎます。会話のずれがないか、もしくはわざと大きくずれます。アスペルガーにありがちな、瞳の動きが固定された目つきもありませんから、演技をしても分かります。

 

偽アスペルガーの社会的背景

現代社会では、大学を出たら会社組織で働くのが当然となっていますが、コミュニケーションが苦手で組織で働くことが難しいという人は、アスペルガーだけではありません。

 

コミュニケーションの困難さの理由をアスペルガー症候群に求める方々がいる、自分はアスペルガー症候群という特別な存在だと主張する方々がいるのは、組織に属することを求められ、個性を認められにくい、生き方の選択肢の狭さも一因となっています。

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