アスペルガー症候群の自己診断
メディアなどで大人のアスペルガー症候群が取り上げられるようになって、十数年が経過しました。その間に、数多くの入門書と専門書が発行され、自分が集団に馴染めず、仕事が上手くいかずに生きづらい原因は、アスペルガー症候群にあるのではないかと疑う人が増えています。
書籍やネットサイトでは、YES/NO形式で自己診断が出来るようになり、自己診断で「自分はアスペルガーだ」と思い込み、特別な才能を持ったレアな存在だと自己満足してしまう方がいます。もしくは本当にアスペルガーで、その後は支援サイトを参考に生き方を変えていく方、精神科を受診する方、先天性のものだから治らないのだと絶望する方もいます。
病気や障害全般において、生き方をネガティブな方向に誤らせる自己診断は危険です。特にサイトのYES/NO形式の自己診断は、定型発達や精神疾患の方にも当てはまる項目が多いので、信憑性に疑問があります。
自己診断を疑う
自己診断が出来るサイトには、「友達が出来ない」「仕事が出来ない」「融通が利かない」「常識が無い」「マイペース」「空気が読めない」などの、それらしい項目が並んでいます。それら全てがアスペルガーの特徴とは言い難い面があります。
誰だって、友達に嫌われたり、仕事が難しい時はありますし、頑固な面もあれば、マイペースで取り組みたいことだってあります。常識を知らなくて恥をかいたこと、空気が読めない失敗だって多少はあります。仕事が出来て、物事によっては融通が利くアスペルガーもいます。
ですから、自己診断のチェック項目だけを見て「自分はアスペルガー」だと思い込むこと、もしくは、自己診断の項目を見た家族や友人から「あなたはアスペルガーではないの?」と無責任に言われることもあると、頭の片隅に置いておきましょう。
自己診断を確信したら
子供の頃から大人になっても、集団の中で苦労し続けて来た方々は、自己診断のチェック項目に納得することも多いでしょう。なぜ、そのチェック項目が並んでいるのか、理由を確認して納得したら、精神科を受診しましょう。
精神科の医師でも、専門医でなければ誤診することもありますが、あやふやな自己診断を信じるよりも、知識を持った精神科の医師と話すことで、チェック項目に引っかかった原因が、アスペルガーなのか、それとも他の精神疾患なのか、気分的なものなのかがはっきりします。それに、本当にアスペルガーだった場合は、その後の支援制度の使い方などの説明も受けられます。
自己診断で変わる
アスペルガー症候群の自己診断をして、受診するほどでも無いけれど、自分の悩みの原因がアスペルガーだったのなら、自分を変えたい。と、ポジティブに受け止めた方は、定型とアスペルガーの特徴の違いを調べてみることをおすすめします。
もしかしたら、子供の頃から苦労し続けて、定型発達に近い行動をとることを学習し、それでも疎外される劣等感を越える方法を、身につけているかもしれません。ですが、定型発達とは根本的に性質が違うことを自覚すれば、もっと、生活しやすくなります。
本当にアスペルガーだと思うのなら
自分は本当にアスペルガーであり、特徴を知って生き方を変えたいと望むのなら、アスペルガーの行動が定型発達の人たちにとって、どう受け止められているのかを知り、適切な行動を心がけましょう。
最も良くない態度は、「自分はアスペルガーだから、○○をしない、できない」「自分はアスペルガーだから、周りが気を使うべきだ」という自己中心的な主張です。たまにおられるのですが、これを言うと、アスペルガーであっても無くても対人トラブルを引き起こします。孤立だけでなく嫌われてしまい、自分自身にとって、良くない結果をもたらします。
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