アスペルガー症候群と感覚過敏

アスペルガー症候群と感覚過敏

アスペルガー症候群と感覚過敏

アスペルガー症候群は脳機能の偏りによる、認知機能の偏りもあります。そのひとつに感覚の過敏と鈍麻があります。体の各部位の感覚器から感じ取った感覚を、脳で知覚して認知する機能が、定型発達と異なるのです。感覚鈍麻の方は個人的な健康維持にリスクがありますが、社会的に問題は起きにくいようです。感覚過敏の方は、日常生活が難しくなり集団生活ができなくなるほど困ります。

 

嗅覚の過敏と鈍麻

過敏だと、香水のベースになっている香りも解ります。香水は定型には良い香りと感じられますが、アスペルガー症候群は排泄物の匂いにも感じられます。これは香水のベース成分に排泄物に近いものが含まれているからです。

 

定型が感じない建物の化学物質の匂いや人それぞれの匂いも感じます。質によって違う水の匂い、場所によって変わる土の匂い、木の葉の萌える匂いなどを感じて四季折々の変化を楽しむこともできます。話しても誰も解ってくれないので、少し寂しいです。

 

感覚鈍麻の場合は、腐敗した食べ物の匂いが分からないことがあります。

 

聴覚の過敏では困っている

過敏だと定型には聞こえない、街中にある猫除けの超音波やバイオリンの音になっていない音波の部分も聞こえます。ほんの小さなささやき声の会話も聞き取れるので、10mほども離れた場所から会話に参加してしまい、驚かせることがあります。

 

また、聞こえている音や声の選別が不完全なため、音楽ではメインとサブの区別がつかず慣れないと混乱します。賑やかな場所では全部の声が聞こえるため、一緒にいる友人の話が聞き取れないことがあります。同様に、リズムや音程が揃っていない音楽も全てがメインに聞こえるためイライラします。

 

触覚の過敏でも困っています

過敏だと触れられることを不快に感じてスキンシップがとれません。乳児の頃から母親に抱かれるのを嫌ったり、学校では友達とじゃれあったりしません。大人では触れられることを嫌がるため、パートナーの理解が無いと恋愛関係にも影響します。過敏が強いと握手すら気持ち悪く感じてスキンシップを取らないので、他者からはよそよそしく思われます。

 

洋服も肌に当たるタグは気になるので、まず外します。生地によってはチクチク感やぬるぬる感があって気持ち悪くて着られないものがあるので、いつも同じ材質か同じ服を着ています。服の選択肢が少ないので、社会に合わせた服装をするには工夫が要ります。

 

その他の感覚について

他に味覚にも過敏と鈍麻があります。視覚が過敏で、教室の黒板が見えないほど光を眩しく感じます。定型が暗いと感じる程度の部屋で、眩しさから解放されて落ち着けます。また、体の位置を感じる「深部感覚」にも過敏や鈍麻があるので、自分の体がどこにあるのか細かい把握が出来ておらず、しょっちゅう壁や柱にぶつかるとか、何もないところで急に足元の不安定を感じてびっくりします。

 

日常生活や社会生活において、建築物の規格や服装コードなどは定型に合わせて作られているので、定型とは感覚機能が異なるアスペルガー症候群にとっては難しいことが多いのですが、使えるものを使いながら折り合って社会生活を送っていきましょう。

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